大きな峠を2つ越えていきます。
↑詳しいルートと記録は【山行記録のページへ】もご覧ください。
早朝の岡田宿。
峠を前にした宿場町です。
道標がありました。
「右 江戸海道、左 せんく王し道」
”海道”の表記がいいですね。
ここから江戸へは保福寺峠を越えて上田方面に抜け、
北国街道→中山道の道筋が近道になるようです。
こちらは蓮台場。無縁墓地です。
陸軍の松本連隊が出来た当初は「連隊場」と間違えて来る人が多く、
読み方を「れんだいば」から「でんで」と変えています。
間違えてた人はさぞビックリしたことでしょうね。
左の空き地が問屋跡
この少し先に問屋があった場所があります。
実に広々としてますよね。
ちょうど刈谷原峠の出入り口にあたるので
行き来する人々を見守る(監視?)の役割もあったようです。
岡田宿が開設されてからは宿内へと移設になっています。
これから刈谷原峠を越えるわけですが
地図で見ると善光寺までの道筋はほぼ一直線です。
いわば山を突き抜ける形になっているので
全体的にアップダウンが激しくなっています。
近代になっての鉄道や道路は
勾配を出来るだけ避けたルートで建設されたので
お陰で旧街道には昔ながらの風情が今も残ってるといえます。
左が明治道
刈谷原峠では明治期に馬車道が整備されています。
善光寺街道とは別ルートの馬飼峠を通る勾配が緩い道です。
通る際に通行料が要ったので日本初の有料道路といわれています。
(日本初の有料道路はいろんな説があるようです)
どんどん山深くなっていきます。
刈谷原峠の最初の見どころは石畳の跡でしょう。
電気のケーブル敷設の際に壊されてしまいましたが
川側に若干名残りを見ることができます。
馬頭観音群。
この峠には他の石仏も含め100体ほどあるそうです。
刈谷原峠の眺望は残念ながらよくないです。
かつては茶屋が3軒あったということで広々としていました。
井戸や石積みも残っていて実に良い雰囲気です。
峠を下っていくと刈谷原宿が見えてきます。
宿場の手前には草道が残っていて
左の小屋には庚申塔と道祖神が安置されています。
刈谷原宿は静かな山の中の宿場といった風情。
同じく峠の前にある岡田宿とは違った雰囲気があります。
街道の秋。日本の秋。
次の会田宿までは盆地の中を進んでいきます。
広々とした農村の光景が続きます。
立峠を前にした宿場町が会田宿です。
ここは宿場内で2回直角に曲がっています。
善光寺街道の行灯が良い雰囲気ですよね。
軒先には休憩用の椅子や水飲み場があったりと
歩く人への配慮を感じれた宿場町でした。
2つ目の角を曲がると急坂が始まります。
宿場は2つの大きな常夜灯が立ってる辺りで終わりになります。
常夜灯には善光寺の文字が刻まれていました。
芭蕉の句碑が立つ
有名な岩井堂は寄っておいて損はありません。
この見事な岩山。そして本堂の横には磨崖仏もあり
往時の旅人もわざわざ寄っていたといいます。
立峠はなかなか険しい峠です。
先ほどの刈谷原峠は道が広くて楽だったのですが
立峠では本来の道が一部崩れてるので迂回路を通ります。
その迂回路もこんな感じで藪だらけ。
季節的なものがあるのでしょうが大変でした。
本来の街道には往時の遺構が数多く残っています。
この石積みや石仏もその1つです。
やがて立峠に到着です。
見晴らしが良いです。
峠からの下り道には石畳があります。
古い時代のものもあるようですが
大部分は修復されてるような感じです。
とても歩きやすい道が続きます。
松本側とは大違いです。
乱橋の集落。
ここは間の宿でした。
名前が少し変わっていますよね。
「阿陀の橋」「みたらし」などと記されることもあって
時には「乱」の字を嫌ってか「静橋」としたこともあったそうです。
小さな中ノ峠へと向かう途中、
振り返って見ると乱橋集落がよく見えました。
峠を越えると西条(にしじょう)
こちらも乱橋と同じく間の宿です。
茶屋本陣の跡があったり、
宿場と同等規模の町並みが続きます。
この火の見櫓の付近は
かつては枡形のようになっていたそうです。
櫓の脇には道筋の痕跡が残っていました。
刈谷原宿から2つの間の宿を抜けて
ようやく次の宿場である青柳宿に到達します。
ここは坂のある宿場町。
石積みを利用した水を流す「樋」が特長的です。
宿場の先の山中には
古くからの名所である「大切通し」があります。
大きな石を切り開いたもので
そこら辺にある切通しとはレベルが違います。
ただ、岩を触ってみると脆い感じがしました。
意外と工事自体は簡単だったのかもしれませんね。
明治期には車を通すために
切通し下部を削った跡を見ることができます。
小切通し
「大切通し」の先には「小切通し」もあるのですが
こちらも見ごたえ十分の立派なものです。
これを抜けると麻績の盆地に入っていきます。
麻績は「おみ」と読みます。
JRの駅名は以前は「麻績」だったのですが
難読駅名で読めない人が多かったからなのでしょうか
「聖高原」というハイカラな駅名に変更になっています。
麻績宿は駅からほど近い場所にあります。
山間の宿場らしく静かな雰囲気が漂います。
次回は善光寺ゴールを目指します。
またまた峠を越えていきます。