2017年05月26日

熊野古道中辺路その6・那智大社→速玉大社

大門坂を下って海沿いへ。
中辺路歩きラストの区間です。

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↑詳しいルートと記録は【山行記録のページへ】もご覧ください。

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大門坂は綺麗に整備されています。
石畳には苔が少なく大雲取越と大違いです。

那智大社へと向かう逆方向は観光客が多めです。

気軽に歩ける熊野古道ということで
坂の下にある駐車場に車を置いてから大門坂を上って、
バスで駐車場に戻るパターンが人気のようです。

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多富気王子跡。
大阪から点在していた九十九王子の最後の一社です。
もちろんこれは熊野本宮大社→速玉大社→那智大社という
昔の一般的なルートでの順番なので最後ということですね。

ちなみに那智大社を参拝した後の帰り道ですが
浄土から現世に戻るという意味で大雲取越をせずに
元来た道をそのまま帰る人も多かったといいます。

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夫婦杉を過ぎれば大門坂が終わります。

出口に石の鳥居と朱塗りの小橋(振ヶ瀬橋)がありますが
那智の聖域と俗界とを分かつという意味があるそうです。

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旧道を進みます。
この地域の特長なのか石積みが立派な家が目立ちます。

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市野々王子跡にある穀物倉もその一つ。

一見すると普通の石積みに見えるのですが
柱を一本も使用しない珍しい倉庫になっています。

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市野々王子跡からの元々の古道は
県道より山際を通っています(一部通行不可)

考えるに川の氾濫に備えた道筋と思いますが
石積みの立派な家が多いのも同じ理由かもしれませんね。

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荷坂の五地蔵から霊園に続く道を上っていくと
那智山と大雲取方面がよく見渡せました。

ここからは暫く山道を進みます。
途中には尼将軍と言われた北条政子の碑がありますが
熊野を厚く信仰していたのでこの地にもあるようです。

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古道の上に橋(ボードウォーク)が設置されていました。
何もこのような形で整備しなくてもと思うのですが
湿地になっているので仕方なかったのでしょうか。

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旧道は山際を進んでいきます。
川には立派な護岸が作られていました。

道端には道標など古い石碑が一か所にまとめられています。
おそらく道路整備の際に集められたものなのでしょう。

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大辺路との分岐付近に地蔵型道標がありました。
川を渡って海沿いに進む紀伊田辺への道筋です。

大辺路との分岐は浜の宮王子付近にもあるのですが
こちらには大きな振分石が置かれています。
中辺路、大辺路、伊勢路が落ち合うことから
中之宿駅として賑わっていた場所です。

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字が大変見づらいですが1658年のもの。
本来は300年ごとに建て替えられていくものなのですが
1950年代での建て替えはなかったみたいですね。

浜の宮王子の目の前には海が広がることから
那智山参拝前の潮垢離をして身を清めていました。

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王子から先は平坦な道の割合が増えます。

国道には歩道がない場所が多いですが
近年バイパスが出来たおかげで交通量は減っているようです。

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大狗子(おおくじ)峠。

トンネル横の階段が入り口です。
古道はトンネル工事で削られた形になっていますが
階段の上からは雰囲気ある古道が再び顔をだします。

振り返ると那智の港がよく見えました。

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若干荒れていますが立派な切通しです。
風が通り抜けて気持ちが良い場所でした。

下り坂では古びた石畳が残ります。

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小狗子峠にも立派な切通しがありました。

雰囲気ある竹林を抜けると住宅街へ。
海岸沿いの宇久井、佐野の集落を進んでいきます。

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入り組んだ三輪崎を抜けると高野坂です。

世界遺産に指定されている区間でもあるので
道筋はある程度整備されています。

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坂の入口にあった石橋は古い時代のタイプでした。
こういう昔からのものは萌えますね。

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さすがは暖かい紀伊半島の南端らしく
あちこちに熱帯系の木々が生えていました。

ピーク付近では新宮方向に王子が浜が見えました。

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波の爆音がスゴイ!!

波が引く際に大きな石がゴロゴロと動くんですが
昔の人もこの音には驚いたことでしょうね。

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高野坂を過ぎると波打ち際へ。

この王子が浜の区間は約3キロもあるので相当力がいります。
砂は深い場所もあって夏は砂漠のようなものでしょう。

波打ち際なら砂が締まっているので幾分楽そうですが
波がかかるという恐怖があるのでおっかないですね。

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やがて浜王子。

14世紀前半はかなりの社格だったそうで
戦前まで海辺を含めた広大な敷地が神域となっていました。

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新宮の町中を進みます。
港が近いので野良猫をよく見かけました。

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阿須賀神社は阿須賀王子でもあるのですが
実は熊野信仰にとって重要な場所になっています。
熊野権現はまず近くにある神倉神社に降臨したわけですが
その次に阿須賀神社北側にある石淵谷に勧請しています。

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その割には速玉大社や神倉神社と比べると
立ち寄る人が少ないような印象があるのですが
こういう歴史的な背景を知ってしまうと
2016年に世界遺産登録になったのも納得です。

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新宮城を横に見て直進すると速玉大社です。

鳥居付近は本宮大社からの船着き場でした。
昭和初期まで河原には店がずらーと連なっていたそうで
河原町として大いに賑わっていた様子が目に浮かびます。

以上で中辺路歩きを終わります。

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2017年05月18日

100キロウォーク攻略まとめ(新)

2年ぶりに大阪YHが主催する大会に参加してきました。

→一発チャレンジ!100キロ24時間ウォーク
http://osaka-yha.or.jp/2017/04/21/2176.html



他の大会と比べると高低差はほとんどなく、
100kmといえど難易度は低い部類になります。

ただし途中で点呼を行う足止めがあるので
自分のペース配分で歩きたい人にとっては辛いところで
それが逆にキツイという歩きの達人の声もあります。

以下に今回や過去の経験を踏まえながらのテクニックを
私見が多いですが今一度まとめてみます。

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【トレーニング法など】

いかに100キロという距離を歩くことができるか。
それは距離への慣れが最初の一歩だと思います。

普通に生活していると1日に10キロも歩くのは稀なほうでしょう。
何も練習しないで挑戦してもリタイアの可能性が高いと思います。
でも、これがたまに30キロでも歩くような人だと
30キロ地点までは難なく歩ける自信があるはずです。

では、長距離を普段どうやって歩くの?になるのですが
各地のウォーキングイベントに参加してみたり、
街道歩きやハイキングなど楽しみながらするのが一番と思います。
あと、Ingressというゲームも知らず知らず歩けたりします。

私はもっぱら街道歩きで鍛えています。
30〜40キロ。一日かけてのんびりと。

→歩いて健康!街道を歩いて懐かしい風景を楽しもう
https://matome.naver.jp/odai/2137396025287900701

→歴史ウォーカー的「Ingress」
http://borabora.seesaa.net/article/413047791.html

マラソンで鍛えるという考えもありますが
上位入線の人を見ていると少数派なような気がします。

100キロウォークでは17時間〜24時間はかかるものなので
短時間勝負のマラソンとは行動時間が違ってきます。
また、ウォーキングは走りとは違う筋肉を使ったりするので
歩きでの持久力耐久力強化が必要なのではと思います。

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本人(左)毎度おなじみのスタイル

【装備など】

長時間歩くことから最小限での装備が基本です。

〇リュック

体にフィットするトレラン用の小型のものがオススメです。
一般的なリュックは体との密着性がいまいちなものが多いので
長距離になれば歩く度に揺れると負担になってきます。

〇ポンチョ

雨対策と防寒を兼ねます。
利点は雨でも手ぶらで歩けるという点です。
リュックの上から被せるとザックカバーも不要な上に
ビニール生地なので風を通しにくく早朝の寒さ対策にも生かせます。

雨対策に傘を使うのも一つの方法ですが
雨の時間が長引けば腕への負担は大きくなりますし、
傘を差しても雨から防げるのはポンチョとさほど変わりません。
あと参加者が多い大会だと周りに当たる危険性もあるので
周りに気を遣うという精神面での負担も大きいと思います。

〇靴

トレラン系の軽いものがオススメです。

ウォーキングシューズも種類によりますが
トレラン系と比較すると若干重いように思います。
マラソンシューズは軽さ的には一番だと思いますが
クッション性が抜群に良く出来ているので
”ふあふあした感覚”が逆に足に負担になることがあります。

あと、ゴアテックス系の防水が効くものは
雨を防ぐ代わりに通気性がイマイチのように思います。
歩くときは常に通気を確保しておく必要があるので
通気性の良いものが一番です。

しかしながら通気性の良いものは雨に弱いです。
事前に防水スプレーなどで対策は必要なのですが
極力最小限にしておいたほうが良いでしょう。
せっかくの通気性がゼロになってしまって
靴の中は湿気ムンムン。マメが出来やすくなります。

いずれにしても、どのようなシューズでも
事前に履きならしておかないといけません。
本番までに最低でも30キロは歩いておきましょう。

〇服装と小物

100キロウォークでは丸一日歩くので
それぞれの状況下でベストなもので挑みたいものです。

服装は動きやすい服と動きやすいズボン一択です。
通気性の良いものを選びましょう。

ズボンはスポーツ系のものが良いと思います。
雨にあたっても少しすれば乾くようなものがいいですね。

昼の炎天下での歩きでは直射日光が降り注ぎます。
日焼けをすると疲れやすくなるといいますから
出来るだけ長袖を着て歩くのがオススメです。

日焼けという意味では目の保護も大切です。
極力サングラスして体力低下を防ぎましょう。

あと帽子も忘れずに。
いろんな方向からの日光を避けれるという意味で
帽子の周りにツバが付いてるタイプがオススメです。

早朝、夜明けは放射冷却で寒いことがあります。
ヒートテックなど一枚羽織るものを入れておくのも良いですが
オススメは先ほどに出たポンチョを活用する方法です。
これなら雨対策にも使えるので一石二鳥です。

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武庫川の向こう側!

〇五本指ソックス

休憩のときの履き替えが面倒なことを除くと
スポーツ系のものはテーピング効果があって有能です。

足と密着しているということで
マメの発生を極力遅らせれてるのかなと思います。
少なくとも指先にできるマメは回避できる可能性が高いです。

〇股ズレ防止、マメ防止クリーム

痛くなってからはもう遅いことが多いです。
皮膚を保護するクリームが2000円ほどで売っているので
歩く前と50kmぐらいで塗っておくと良いと思います。

注意点としてはあまり塗りすぎないこと。
湿気になって逆にマメができやすくなることがあります。

塗る量は適度に。
本番前に何度か試しておくと良いでしょう。

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残り20km付近の先頭集団

【足が痛くなったときは】

足が痛くなるとモチベが下がってくると思いますが、
長距離を歩くということは皆どこか痛くなってきています。
痛くなっても強者ほど口には出さずに黙って隠してるもので
みんな同じように痛いのだ!という感じで悲観的にならず
気持ちを前向きに切り替えて歩きましょう。

それでも痛いというのは気になるもので
ちょっとした対策を書いておきます。

エアーサロンパスなどのシップ類ですが
マラソンほど足に熱をもつことはないですし、
気休め程度にはなりますが効果は?です。
もちろん個人差はあると思います。

ロキソニンなどの鎮痛剤は効果はあります。
ただ胃への負担が大きいことや体に合わないことがあるので
気分を悪くしてリタイアということも十分考えられます。
あまり薬類は頼らないほうが無難でしょう。

マメが出来てしまったときの対策は、
足裏の皮膚の丈夫さで対処法が変わってきます。

皮膚が薄い人はマメを潰さずに歩いていると
途中で潰れて痛い思いをしてしまいます。
逆に厚い人は歩いていても潰れることは稀です。
なので、マメが途中で潰れる可能性がある人は
休憩ポイントで事前に針で潰しておくと安心です。
その際は消毒とバンドエイドを忘れずに。

皮膚が厚い人は何もせずに歩きを続行します。
ゴールの時にはこぶし大になることもありますが
家に帰ってからキチンとケアしてあげましょう。

マメの痛さではない筋肉的な痛さの場合ですが
誰かと話ながら歩いて気を紛らわすのも一つの方法です。
しりとりやクイズは時間が早く過ぎる気がします。

いずれにしても、
足の痛さは痛くなる前の対策が一番です。
休憩時には靴を脱いで通気性を保ったり、
事前にマメ防止のクリームを塗っておいたりなど。

すぐに痛くなる人は練習不足だと思うので
次回までに練習をみっちりやっておくことです。

【この大会のテクニックなど】

この大会はリピートの方が多く
久しぶりの再会は参加の楽しみのひとつです。

ルールとしては
交通ルール厳守、ウォーキングのみ。走り禁止。
いかに24時間以内に100kmを歩くことが出来るかなので
スピードを競う大会ではなく順位による表彰もありません。

完歩だけを目指すならば
道中は2〜3番手集団で歩くのが一番安定してると思います。
先頭集団はハイペースになることが多いので
自信があったとしても避けたほうが賢明です。

上位を目指すならば
最後の点呼場所である山崎駅(残り20キロ地点)までは
2〜3番手でゆっくり気味に歩いて体力温存をします。
山崎駅からは必ずトップ集団で出発です。

この山崎駅こそが上位入線のキーポイントで
軽食、トイレ、足のケア、日焼け対策など
約20分の休息の間に全て済ませておく必要があります。
ようするに山崎駅からゴールまでは休憩なしです。

淀付近では栄養ドリンクをもらえますが
すぐに出発します。もちろん先頭集団です。
残り15キロからはキロ7〜8分のペースで歩ければ
トップゴールが見えてくることでしょう。

と、いうのが攻略法です。
今回も例年と同じような感じでやったのですが
結果は6位入賞までとなってしまいました。

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ゴールで出迎えるユースホステルの人が見える

その理由は・・・

・靴の防水スプレーはほどほどに。
雨を予想して防水スプレーを多めにしていたのですが
通気性を犠牲にしてしまい靴の中は蒸れた状態が続いてました。

・途中の休憩所での足のケアは大事。
時間の関係で甲南山手駅の休憩所をスルーしたわけですが
スルーした直後から足裏にマメの兆候が表れました。

・新大阪までのペース配分。
ペースを出来るだけ絞って歩いていたのですが
もう少し速めていれば余裕が出たのではと思います。

・単なる調整不足。
ここ1年は事情で街道歩きが少なめになったことや
日課のウォーキングも少なくなっていました。

この4点ですが
一番の要因は調整不足でしょうか。

道中のペース配分を見ると明らかです。

80キロ地点まではキロ11分。
80~90キロ地点まではキロ9分。
90~97キロ地点まではキロ10分。
ラストはキロ11分まで落ちていました。

以前、1位や2位でゴールしたときは
残り10キロはキロ7分で歩けていたことを考えると
なかなか厳しい結果になったと思います。

おそらく今回先頭でゴールした人は
キロ7分で歩ききったのかなと思うだけに
次回はしっかり調整してチャレンジしたいところです。

→今回の様子など実況風まとめ
https://togetter.com/li/1110386

では、enjoy!100キロウォーク!


 
posted by にゃおすけ at 14:42 | Comment(0) | TrackBack(0) | 100キロウォーク | 更新情報をチェックする

2017年05月02日

熊野古道中辺路その5・小雲取越えと大雲取越え

いよいよ那智大社へ。
人気のコースをたどっていきます。

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↑詳しいルートと記録は【山行記録のページへ】もご覧ください。

熊野古道中辺路を本宮大社に着いた後は
川の参詣道で速玉大社を目指すのが一般的でしたが
現在は残念ながら船便がないので叶わぬ夢です。

そこで今回は先に那智大社に向かうことにしました。

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元々の小雲取越の入口。

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新しい小雲取越の入口。

まずは小雲取越です。
スタート地点は国道の横から登る形ですが
本来の登り口は少し手前の川沿いからになっていました。

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請川の集落内には道路元標が残ります。

道路元標は村の中心に設置されていたことから
ある程度大きな集落だったことを想像できます。

場所的に本宮大社と湯峰温泉への追分の地であって
小雲取越からの休憩場所という役割があったのでしょう。

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雨の小雲取越になりました。
道がどっぷりと水に浸かっている場所があります。
ウシガエルが大量に発生しているところも。

山越えにも関わらず気持ちの良い快走路が続きます。

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百間ぐら。

晴れた日は絶景で遠くまで見渡せるそうですが
靄がかかった景色も熊野らしくて良いものです。

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「ぐら」とは熊野地方に多い呼び方で「高い崖」の意味になります。

よく眺めてみると中央の窪みあたりに
本宮大社付近が見えているように思います。

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賽の河原地蔵。

子供が親を供養するために石を積み上げたところ
鬼が崩して地蔵が助けてまた積み上げるというのが賽の河原。

しかし、ここは特にそういう謂れがなかった場所なのですが、
どういうわけか石が積み上げられいるようです。

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石堂茶屋跡。
古い石積みが残る広々とした空間です。

小雲取越、大雲取越は人気のコースということもあって
各所に屋根付きのしっかりした休憩施設があります。

それら休憩施設は茶屋の跡地に設置してる場合が多く、
茶や団子はないですが昔を体感させてくれています。

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若干のアップダウンがありますが
大雲取越のことを思うと大したことはありません。

やがて桜峠を過ぎると一気に小口集落へと下りていきます。

しかしながら単純に下りれないのが熊野古道です。
苔むした石畳はスムーズに歩かせてくれません。

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石畳が続きます。
昔からのものや復元されたもの色々ありますが
復元されたものは削岩機の跡が残っているので一目瞭然です。

尾切地蔵さんを見て小和瀬の渡し跡へ。

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当時は今より水深が深くて橋が架かるまで渡し舟がありました。

小口集落へは小さな峠を越えていきます。
今はトンネルがあるので気づかずに通り過ぎてしまいそうですが
峠には石仏が残り昔ながらの雰囲気がよく残っていました。

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小口集落を抜けると大雲取越えの始まりです。
最初の坂を上ると民家がありますが民家の先からが本番です。

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こちらの坂道にも石畳が敷かれています。
中には大きな一枚岩の上が道になっている場所も。
横の木を頼って歩かないと滑る滑る。

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円座石。

〇が3つ並んでいて本宮、新宮、那智を表しています。

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円座とは円になって座ることで
神様3人がここで話をしていたという感じなのでしょうね。

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それにしても小雲取越えと違って古い石畳が続きます。

石畳というものは上りはさほど滑らないですが
下りとなると別物のように滑りやすくなるものです。

滑り止め対策としては使い古したパンストを靴に巻くか
ボロボロのタオルを巻くのが効果的と聞きます。

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楠の久保旅籠跡。

数十軒もの旅籠があったのですが昭和30年代にはなくなっています。
熊野古道を歩いているとこういった場所をよく見かけますが
車社会になって街道を歩く人がいなくなったということや
生活する上で車が通れない場所は厳しいということなのでしょう。

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急坂が続きます。
小口集落からは800m近く一気に上るイメージです。

標高が高くなるにつれ笹が出てきました。
胴切坂という名前は名前の通り大変きついものです。

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中辺路の最高峰の越前峠。

うっすらと霧がかかる情景はいいですね。
空気も澄んで心が癒されます。

これで中辺路の大きな難所は終わりました。
まだ峠は石倉峠、八丁掘割、舟見峠と続きます。

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相変わらずの苔むした石畳。

雨が降った後だったので道が川のようになっていました。
何度転んでしまったことか。

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舟見茶屋跡からは海が見えました。
紀伊田辺で見て以来の海です。

ここまでずっと山の中を歩いてきただけに
目の前に広がる大海原には感動を覚えます。

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登立茶屋跡。

茶屋の役割以外にも周辺の集落の商店の役割もあったといいます。
よくよく考えると熊野川沿いの道が出来るまではこの道が幹線道路なわけで
参詣以外にも多くの人が利用していたことでしょう。

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やがて那智高原公園を過ぎると青岸渡寺の境内に入ります。
立派な石段が整備されているのですがこれもまた滑る滑る。

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那智の滝。
水量が豊富でした。

青岸渡寺と那智大社をお参りして帰路につきました。
いよいよ次回は速玉大社ゴールです。

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