2021年04月27日

桜咲く笠置街道を奈良へ・その2

前回は笠置から須川まで歩きました。
ここからは廃道も存在します。


↑詳しいルートと記録は【山行記録のページへ】もご覧ください。

笠置街道は東海道のようなメジャーな道ではありません。
数少ない資料を使って歩くルートを考えるわけですが、
廃道が想定された区間となると綿密に計画を立てていても
不安とワクワクが交錯してドキドキが止まりません。
メジャーな街道ではなかなか味わえない感覚です。

上の写真の場所は峠越えの入口。
この先に果たして道があるのかないのか。それとも・・・。

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古道キタコレ!!
こういう瞬間があるからたまりません。

道端には古い石仏が置かれていたりして、
その昔この道がメインであったことがわかります。

この古道を暫く行けば舗装された区間に入るのですが、
道幅は先ほどまでと全く変わっていないことを考えると、
補修してるか否かで随分と印象が変わるものです。

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北村地区にあった廃車体。

街道では懐かしいものに出会う率が高いですが、
Twitterで聞いたところかなりのレア車両とのこと。

マツダのライトバスA型
昭和40年代、先進的なデザインで人気でした。
車体には幼稚園の名前が書いてありましたが、
当時を知る園児は今や中年になっていることでしょう。

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白看板はかつてメインだった道筋の証。
色褪せ具合が時代の流れを感じます。

再び県道に合流すると多くのダンプが行き交っていました。
この先は良い真砂土が取れる産地なのです。

大型車の姿に目をつぶれば長閑な光景が広がります。
桜が見られる時期は花々も美しく街道歩きの楽しい季節です。

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腰痛地蔵尊。
石仏の周りには槌の子が奉納されているのですが
近隣だけでなく遠方の地名が書いたものも置かれています

これは腰痛の人は供えてある槌の子を持ち帰って、
痛むところを軽く叩いてお願いすれば治ると伝えられているもので
治れば新しい槌の子を奉納するというのが習わしだそうです。

まさに知る人ぞ知る。お地蔵様です。

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鳴川地区には軽い山越えがあります。

先ほどの須川の古道と似た感じではあるのですが、
こちらのほうは藪が少し多めで歩きにくい感じでした。
日の当たる場所が多ければ藪が多いのも仕方がありません。

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奈良は歴史の宝庫ということで、
街道を歩くだけでも歴史を十分感じることができます。

中の川バス停にあった立派な石仏を調べてみると、
永正14年とあるので室町時代に作られたもの。

なんとも年代がぶっ飛んでます。
こういうのが奈良の街道の面白さです。

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赤の太線が旧道

中の川交差点では国道である新柳生街道と合流します。

古い地図と照らし合わせてみると、
旧道の位置が微妙にずれていることがわかります。
交通量増加による拡幅した影響と考えるのが妥当ですが、
不思議なことに中の川地区の多くの場所で違っています。

これはおそらく崩れやすい真砂土が関係してると思いますが、
崩れては直し、時には付替えたりの繰り返しだったのでしょう。

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奈良盆地を遠望。
首なし地蔵と牛塚がある辺りで弥勒の道と合流します。

弥勒の道は今回たびたび出てきてますが、
ルート上には下のような案内プレートがあったりして、
今後人気になりそうな雰囲気をヒシヒシと感じます。
歴史探訪のハイキングにもってこいでしょうね。

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浄水場に咲く綺麗な桜並木。

やがて、伊賀伊勢の道標で伊賀街道と合流します。
道標には伊勢まで27里と書いてあります。

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この距離呈は加茂を経由する伊賀街道のものですが、
笠置街道も補完的な役割があったのは古地図を見れば明白で
歩く人々の目的によって使い分けていたと思われます。

伊賀街道その4・加茂→奈良公園と加茂の舟運
https://borabora.seesaa.net/article/401299074.html

伊賀街道については上を参照して頂きまして、
奈良阪にて笠置街道歩きを終えることにしました。




posted by にゃおすけ at 10:10 | Comment(0) | 大阪近辺の街道 | 更新情報をチェックする

2021年04月21日

桜咲く笠置街道を奈良へ・その1

奈良と伊賀方面を結ぶ道はいくつかありますが、
今回はその一つである笠置街道のご紹介です。

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↑詳しいルートと記録は【山行記録のページへ】もご覧ください。

笠置は山間部のレジャーとして古くから人気があり、
キャンプや春は桜の名所として賑わう場所です。

当初の計画は奈良から笠置を目指す予定でしたが、
帰りの列車本数が少ない点と桜の季節ということから
混雑を避ける意味で笠置からスタートすることにしました。

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上の写真は”マディソン郡の橋”ではありません。
笠置大橋が補修により全体が覆われてしまった姿なのです。
これは今の時期限定なので見たい方はお早めに。

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直進が柳生街道、笠置街道は右

資料は弥勒の道プロジェクトさんを参考にしました。
https://mirokunomichi.org/history/
詳細に歴史やルートが描かれており非常にわかりやすいもので、
今回は簀河路と廣岡越と記された本道となる道筋を選びました。

ほぼ並行して有名な柳生街道が通っていますが、
笠置街道は素朴な奈良の光景に出会えるのが特長といえるもので、
さらに別ルートである弥勒の道には岩船寺などの古寺があり、
古い石仏も多いことから高いポテンシャルを感じます。

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しばらくは川沿いの県道を進みます。
この日の笠置の桜は残念ながら散り気味でした。
どうも大阪市内より見頃が早かったようです。

このような道では災害がつきものですが、
広岡地区では道筋や家屋が高台になってることを見ると
川の氾濫を避けてのものではと思ったりもします。
室町時代からあると考えられてる区間だけに歴史が深いです。

ふと、前から奈良交通バスがやってきました。
驚くことに1日数本程度奈良市内からの直通便があります。

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奈良交通では自由乗降制というシステムが存在します。
対象区間ではバス停以外でも乗り降り可能というものです。
手を挙げたマークが非常に印象的ですね。

特定の路線では”エリーゼのために”を流しながら走り、
奈良の山間部での風物詩にもなっています。

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ようやく狭川地区に入れば視界が開けてきます。
見どころは?と聞かれると悩んでしまいますが、
これが良いんですよね。街道歩きしてるって感じで。

元は茅葺と思われる旧家が点在していて、
まさに古き良き奈良の郊外の風景です。

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九頭神社。
神事芸能は無形民俗文化財に指定されていて
秋祭りでは相撲など5つの芸能が奉納されるそうです。
入口の常夜灯を見ると文政の文字が刻まれていました。

山のほうに目をやると驚くべき光景がありました。
ここまで山にへばり付くソーラーパネルを見たことがありません。
設置の費用やメンテナンスにも相当コストがかかるはずなので、
果たしてペイできるのでしょうか?それより危なすぎる・・・。

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やがて光明寺の手前で別ルートである弥勒の道と分岐します。

対して今回歩いている本道はまだ暫く県道を進みます。
県道は交通量増加によって拡幅された場所が多くなっています。
なので道路が旧道っぽくないのは致し方ないところです。

須川の手前では大きな桜が何本も植わっていました。
さらに県道と並行する場所には須川貯水池があるのですが、
こちらにも桜の木がふんだんに植えられているようです。
ただ、水源地のため一般公開はされていません。残念!

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今回はここまで。
最期にドローンで撮影された動画があったので紹介しておきます。
https://www.youtube.com/embed/8z8V5Z1X7HE



  
posted by にゃおすけ at 11:27 | Comment(0) | 大阪近辺の街道 | 更新情報をチェックする

2021年04月16日

全国Q地図を使ってのルート作成術。2021年最新版

街道歩きのみならず山歩きにしても
事前にルートを作成しておけば迷うことが少なくなります。

今回は「全国Q地図」のご紹介です。

ルート作成術については前回2月にも書きましたが、
全国Q地図はあまりにも便利な機能がそろっているので
AppleWatch関連以外は古い情報になってしまっています。

新しいビットマップ イジ.jpg

・今昔マップと地理院地図と重ねて表示ができる

まず、全国Q地図サイトを開いてみると、
地理院地図サイトに似ているのがわかると思います。
ルート作成機能や地図の表示方法も基本的に同じです。

これに加えて古い地図やマニアックな地図を表示出来るのが
全国Q地図の利点で言わば地理院地図サイトの上位互換です。

そして何より便利なのが
今昔マップと地理院地図を重ねられること。
これにより旧道がどこなのか手に取るようにわかる上に、
その作業はいとも簡単にすることが可能なのです。

・マニアックな地図が多数

例えば明治国道マップというものがあります。
当時の国道の状況なので江戸時代とは違う面もありますが、
大体は旧街道と同じような場所を通っていたことがわかります。

このマップを現代地図と重ねて表示させれば、
街道が浮かび上がりルート決定の大きなヒントとなるはずです。

下の全国橋脚マップなるものは、
よく見ると色や数字が書いているのがわかりますが
設置されてからの経過年数を表しています。

マップの名前に全国と付くだけに情報量は膨大で
名前が無いような橋まで網羅しているのは驚きです。

このマップを他の全国歩道橋マップなどと組み合わせれば、
主だった道路の作られた年代まで見えてきたりします。

地図を見るだけでこれほどの情報量を得れるのは画期的です。

新しいビットマップ イメージ.jpg

さて、全国Q地図を使ったルート作成法ですが、
作成するだけならこのサイト一本で十分な機能があります。

でも、実際に歩くとなると
ナビゲーションできるアプリがあると便利です。

・ヤマレコアプリ
・スーパー地形アプリ


この2つがオススメです。
なぜオススメかは今回は割愛します。

作成の流れですが

・全国Q地図でルートを作成

・ルートを保存しKMLファイルを作る

・ヤマレコの登山計画にKMLファイルをインポート
ヤマレコで歩く人はここまで

・その登山計画からGPXファイルを作る

・スーパー地形アプリにGPXファイルをインポート
スーパー地形で歩く人はここまで

前回はヤマレコでのルート作成方法を紹介しましたが、
街道に関しては全国Q地図での作成が一番便利だと思います。
またPCソフトでは老舗のカシミール3Dも便利でしょう。

登山やハイキングの目的ならばヤマレコが便利です。
登山者の歩いた軌跡がマップに表示されるのが大きな利点で、
遭難しない為にも新しい情報を得られるのは有難いものです。

ルート作成術は次々と新しい方法が生まれてきてますが、
暫くは目的に応じて使い分けて作成していこうと思います。


  
posted by にゃおすけ at 10:21 | Comment(0) | 街道歩きテクニック | 更新情報をチェックする