2014年01月14日

伊勢迄歩講。大阪から歩いて伊勢神宮170km!

大阪から歩いてお伊勢さん。
今回で41回を数える伊勢迄歩講というイベント。
大阪ユースホステル協会が主催しています。

IMG_0603.JPG
スタートは玉造稲荷神社


↑詳しいルートと記録は【山行記録のページへ】もご覧ください。

参加者を見渡してみると全般的に
50歳から60歳以上の人が圧倒的に多い感じ。

しかしー!
その脚力たるものや皆さん素晴らしいもので
連日の歩きにも関わらず快調そのものの足さばき。
よく鍛えられている!凄い!と感心した次第です。

IMG_0602.JPG
出発はラジオ体操からはじまります

今回のイベントには学生さんのサポートがついてくれます。
行程中の宿の手配や飯の準備などはもちろん、
道中も一緒に歩いてくれてこれがなんとも新鮮でした。
話こんでいると気づけば何キロも歩いてるってことも。

IMG_0605.JPG
菅笠をかぶっての最初の道中

参加者は約70人でスタッフは20人ぐらいだったでしょうか。
女性1人の参加者もいらっしゃれば夫婦の方もおられました。

こんな大勢の人数での歩行旅。
道中の流れはどんな感じだったかというと以下の感じです。

参加者70人は事前に歩行経験や性別、年代などによって
7つの講(グループ)に振り分けられる。1講は約10人。

道中では講(グループ)ごとによる歩行になって
5分から10分おきのウェーブスタートで基本追い越し禁止。
たとえば1講がスタートすると次の2講は5分後にスタート。
3講はその次。最後の7講は1講とは30分も差が開いてしまいます。

IMG_0610.JPG

IMG_0612.JPG
最初の難所は暗峠。生駒山は大阪からの登りが急

これはよく考えられたシステムで
道中のトイレや休憩所は限られている上、
山道になると狭く危険な箇所もあります。

団体歩行では時間差を設けてることによって
渋滞(特にトイレ)をある程度回避することができます。
前の講が休み終わった頃合に次の講が到着する感じなので
いわばタッチアンドゴー。これが精神的に凄く楽でした。

IMG_0617.JPG

IMG_0621.JPG
1日目の宿は奈良ユースホステル

この講というシステム。他にも利点がありまして
「先達さん」と呼ばれるリーダーが各講に1人おられます。
過去に何度も参加されてる知識が豊富な方がなるようで
前もって主催者から指名されるのだそうです。

IMG_0624.JPG

IMG_0636.JPG
2日目はのんびり奈良盆地の道中

これがとても心強い。
歩行力が皆まちまちな集まり年齢や考え方も違うわけです。
そういう中で1つにまとめて引っ張っていく力はホントに凄い。
考えてみてください歩きで170kmです。普通のツアーとは違います。

IMG_0642.JPG
2日目の宿は長谷寺。温泉で癒されました

先達さんのさらに感心したところは歩行ペースです。
特に最終日。ゴールは内宮でカウントダウンなわけです。
これに間に合わせなければなりません。
しかも行程は70km。

もちろん、スタッフとの連携もあるのですけど
カウントダウンに合わせてのペース配分は経験の賜物でしょう。
ちなみに最後の夜間は時速で5〜6kmは出ていたと思います。

IMG_0649.JPG
3日目は榛原の神社より出発。たき火が暖かい

ちなみに江戸時代の「講」は
現代でいう旅行組合のイメージです。

昔の旅は多額のお金を必要とするので
みんなで貯めたお金を使って代表者数人が行くシステム。
講に入っていればいずれ自分も伊勢参りに行けるものです。

よく、古い旅館に行くと
**講と書かれた看板を見かけることがあります。
これはその講の定宿という目印でもありました。

話が脱線してしまいましたが昔からあった助け合いの精神。
そういえばこのイベントの募集要項にこういうのがありました。

「みんなで助け合って歩ける方」
「30kmを荷物を背負っていける歩行力」

まさに現代の”講”ですね。

IMG_0675.JPG

IMG_0655.JPG

さてさて、
街道ウォーカー的に気になるところといえば
ルートはどんな感じで歩いているかでしょう。

基本的に旧道を全区間に渡って歩くのですが
厳密にではなくて結構アバウトな印象がありました。
本来の道はこっちなのに時間の関係でショートカットとか。

これは団体旅行だから仕方ないですね。
でも、ここぞというポイントは結構忠実に進んでいた感じなので
旧道しか絶対ダメ!と拘らなければ十二分に堪能できます。

IMG_0662.JPG
峠が連続する。次第に雪道に

3日目は峠がいくつも続く難所ばかりの日。
冬は雪も積もることもあって今回も雪道になってました。

荷物ですが
必要なものは全て担がなければなりません。
伴走車は要所要所で見かけるのですけども
運んでいってくれるというわけではないのです。

ただし、最終の宿では
宅急便の手配をしてくれるので
いらぬ荷物は送ることが可能になってました。
最終日の行程は70キロ。こういう長距離になると
歩いていくうちに荷物が重くなる錯覚が出てきますね。
なので送れるなら送っておいたほうが無難でしょう。

IMG_0683.JPG
ありがたい道中のお接待。御杖村にて

無事に完歩するポイントは
いかに荷物を工夫していくか。
まずは軽く、いらぬものは持っていかない。

以下、参考までに荷物をリストアップしておきます。

★装備編
・ニット帽 (耳も隠れるタイプ)
・日焼け止めクリーム (冬でも日差しは強し)
・手袋 (スマホ対応・道中では濡らさないこと)
・手ぬぐい2枚 (風呂用と鼻水ぬぐい用)
・サングラス (日差し対策、眠気防止対策)
・フェイスマスク (スキー用の穴あき。ノースフェイス製)
・ヘッドライト (夜間歩行用)
・スマホ充電器 (寒いのでなるべく大容量のもの)
・分岐付き小型コンセント (宿のコンセントは少ないので)
・パンフレットやボールペンなど
・マメ防止のムース (ボルダースポーツ)
・飲み物ペットボトル小サイズ1本、行動食少々
・耳栓、アイマスク、髭剃り、歯磨きセット

IMG_0685.JPG

IMG_0691.JPG
最終日の朝は早い。凍結している場所も

★服装編
・上下セパレートの雨具 (ゴアテックス製・傘は禁止)
・泥除けの靴用スパッツ (短めサイズ。砂侵入防止対策)
・シャツ3枚 (速乾性のもの)
・パンツ3枚
・靴下3枚 (蒸れたときは前日のものと履き替える)
・登山用長ズボン (動きやすいもの)
・足用ヒートテック1枚
・ヒートテック1枚
・インナー用上着
・ごつめの上着 (登坂時は脱ぐ、登山用モンベル製)
・ウィンドブレーカー (登坂時は脱ぐ、軽くかさばらないマラソン用)

IMG_0693.JPG

IMG_0697.JPG
最後の難所の飼坂峠

基本的にいつも街道歩きで使ってるものを持っていきました。
食事や飲み物は用意してくれてるので準備なくても大丈夫でした。

それはそうと
一番、肝心な装備としては靴ですね。

・アスファルトの道を連日30km越え。
・山道のハードな区間
・雪道

これらをこなす必要があります。
今回はモンベルのトレランシューズをチョイス。
軽いし動きやすいし、山道も苦になりません。
街道歩きでも重宝している代物です。

IMG_0705.JPG

IMG_0714.JPG
暗くなり夜間歩行。伊勢神宮へ向けて

参加者の中には凄い人がいるもので
ツッカケで歩かれてる人もおられました。
聞くところによるとこれがベストなのだとか。

素晴らしい!!

こういうイベントとなると
あらゆる地方から歩きの達人が来られますね。

IMG_0722.JPG
外宮。かがり火が凄かった

今回の参加の目的の一つをあげるとするならば
こういった達人の方々との交流でしょう。

4日間も衣食住を共有できる
またとないチャンス!

歩き方や歩きに対する考え方など
いろいろ教えてもらうことができました。


ラストは「わっしょい」「わっしょい」でゴール

最後に一番つらかったのは何か?ですが
歩きでは特につらいと思うことはありませんでした。
これは日頃の街道歩きの成果でしょうか。

一番つらかったのは
とある宿でのトイレですね。
旧学校の校舎を利用したもので暖房なしトイレ。
マイナス気温の中でのケツ丸出しは寒いっす(笑

IMG_0735.JPG

逆にうれしかったことはというと、
人々の暖かさに触れあえたことでしょう。
道中のお接待はホントありがたかったですね。
餅つきやお菓子、甘酒などなど。感激でした。

あと、団体で歩く良さとしては
あらゆる人に声をかけられたことでしょうか。
すでに1度歩いていた伊勢本街道が違った光景に見えました。
これほどまでに賑わいがあり生活感があったなんて。

う〜ん、街道歩きは奥深い!
また機会があれば参加してみようと思います。



  
posted by にゃおすけ at 19:03 | Comment(2) | TrackBack(0) | 伊勢本街道 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんにちは、伊勢までの170km歩き、楽しく読ませて貰いました。大変参考になりました。
昨年甲州街道を終え、今年から、東海道を箱根までの、予定で歩きはじめました。
いつも、にゃおすけさんには、励ましのコメントありがとうございます。ルートラボも参考にさせて貰っています。
これからもお元気で街道歩きされることを、お祈りします。
申し遅れましたTwitterのニックネームは、@hamanatu 光 です。
Posted by 相原教男 at 2014年01月19日 09:33
光さん。コメントありがとうございます。
伊勢への道はアップダウンが多くて
まるで甲州街道の勝沼-高尾な感じでした。
遅くなりましたが甲州街道踏破おめでとうございます。 

東海道も是非楽しまれてください。
僕も一番最初に歩いた区間でもあるので
また機会を作って歩きたいと思っております。

  
Posted by にゃおすけ at 2014年01月20日 08:32
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:


この記事へのトラックバック