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熊野一の鳥居跡。
今は何も残っていませんが
かつては巨大な鳥居が立っていました。
いわば熊野の玄関口にあたる場所で
中にはこの先にある藤白神社でお参りして満足すると
引き返して帰った人も少なくなかったといいます。

藤白は全国の鈴木性のルーツともいえる場所です。
熊野の神職で神聖な「すすき」というのがあるのですが
これにちなんで「鈴木」の名字を名乗った人が
藤白王子の神職になったことが由来のようです。
「鈴木さんいらっしゃい」ののぼりが面白いですね。


熊野古道の提灯が美しい藤白神社。
なかなか立派な境内です。
ここから先には藤白坂が待ち構えています。
非常に険しく大坂から最初の難所といえる場所です。



坂には旅人の無事を祈るように
一町ごとに石仏がおかれています。
この石仏群は道の荒廃によって不明になったものがあるのですが
近年になってほぼ昔の場所に復元されつつあります。



坂は地道が基本になってるのですが
中には階段で整備されている場所がありました。
急坂を上っていくと展望が開けてきました。
海南の海が綺麗なこと!



筆捨松と硯石。
植わっている松の樹齢は若いのですが
いわれ自体は平安時代と古いもので
宮廷の絵師が熊野権現の童子と絵書き対決をして
絵師が負けたので根元に筆を捨てたとありました。
硯石はその話にちなんで
江戸時代に作られたものになります。

峠のピークにあるのが地蔵峰寺。
本殿は室町時代のものです。
ちょうどこのあたりが藤白塔下王子にあたります。
当時は峠のことを「塔下」とも書いたのでしょうか?


ちなみに寺の裏からの眺めは
和歌山県朝日・夕陽100選に指定されています。

峠から先は舗装されている箇所もあるのですが
新道と旧道が入り組んでいてややこしいです。
ここで助かるのが現地の案内看板。
これに沿って歩けば安心です。


これまでいろんな街道を歩いてきましたが
細かな分岐点にまで案内看板があるのは素晴らしいもので
あの東海道でさえここまで多くのものは記憶にありません。
これはひとえに熊野古道のメインたる場所が
和歌山県という一つの自治体で完結しているので
街道全体を整備しやすかったのではと思ったりもします。


橋本の集落に入ってきました。
「土橋」という橋を渡りますが
紀伊名所図会にも描かれている橋です。
絵を見ると川沿いにも道があるのがわかります。
これは難所の藤白坂を避ける別ルートのもので
和歌の浦方面への海路がありました。

では行き(熊野方面へ)も海路だと楽と思うのですが
そこは苦労したほうが御利益的なものがあったのでしょう。
帰り限定で利用されてた旨が書かれていました。

橋本は紀伊名所図会にも描かれていた場所だけに
人々が集まるジャンクションでもあったようです。
古風な家が所々に残っていましたが
かつては茶屋などが立ち並んでいたと思われます。


お菓子や柑橘類の神様で有名な
橘本神社は所坂王子跡でもあります。
境内には橘の木が植わっているのですが
古い時代に苗木を中国から持ち帰ってきたもので
いわば有田ミカンの先祖にあたります。



ミカン畑の中を進んでいくと
再び急坂が始まります。拝ノ峠です。



なかなかの絶景です。
苦労した分ダイナミックな景色を堪能できます。
紀伊名所図会によると茶屋があって
昔の人も休憩しながら眺めていたことでしょう。




「宮原」集落に入ります。
町の真ん中に大きな有田川が流れているのですが
熊野古道は天神社付近から渡しで渡っていました。
かつての渡しの情景が下の絵図。



中将姫ゆかりの得生寺を過ぎると
一里塚と文久年間の立派な道標があります。


熊野古道は平安時代に賑わった街道ですが
江戸時代においても重要な道筋になっていたので
このような近世のものも所々で見かけることができます。


本日最後の難所が糸我峠です。
振り返ると先ほど通ってきた拝ノ峠が見えました。
ぐんぐん標高をあげていきます。

みかんの花が満開です。
下っていくと逆川王子がありました。


逆川の由来は近くに流れる川からで
地形の関係で海と逆方向に見えることからきています。
こういうトリックは東海道の左富士みたいなノリですね。

方津戸峠。
湯浅に藩の役人が来たときは
醤油商人が見送りにきたといわれています。
さあ、湯浅の町へと入ります。


湯浅は醤油の町です。
ぷーんとする醤油の香りが町中に漂っています。
重伝達地区にも指定されているので
なかなか雰囲気の良い町並みが続いています。

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勝手にTwitterなどフォローさせてもらってます。
自分が歩くのに、お手本にさせてもらってます。
私も年明けすぐに、このコースを歩きました。
想像より楽しめたコースでした。
ブログ記事の時期は、5月頃でしょうか??
やはり季節が違うと同じ景色も印象が違いますね。
これからも更新楽しみにしています。
失礼しました。
歩いたのは5月ごろで峠越えではかなり汗をかきました。
山が多い区間なので冬は気持ちがよさそうですね。
ブログ見させてもらいました。
いろいろと歩かれているご様子で
ちょくちょくのぞかせてもらいます。