人気のコースをたどっていきます。

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熊野古道中辺路を本宮大社に着いた後は
川の参詣道で速玉大社を目指すのが一般的でしたが
現在は残念ながら船便がないので叶わぬ夢です。
そこで今回は先に那智大社に向かうことにしました。

元々の小雲取越の入口。

新しい小雲取越の入口。
まずは小雲取越です。
スタート地点は国道の横から登る形ですが
本来の登り口は少し手前の川沿いからになっていました。

請川の集落内には道路元標が残ります。
道路元標は村の中心に設置されていたことから
ある程度大きな集落だったことを想像できます。
場所的に本宮大社と湯峰温泉への追分の地であって
小雲取越からの休憩場所という役割があったのでしょう。

雨の小雲取越になりました。
道がどっぷりと水に浸かっている場所があります。
ウシガエルが大量に発生しているところも。
山越えにも関わらず気持ちの良い快走路が続きます。

百間ぐら。
晴れた日は絶景で遠くまで見渡せるそうですが
靄がかかった景色も熊野らしくて良いものです。

「ぐら」とは熊野地方に多い呼び方で「高い崖」の意味になります。
よく眺めてみると中央の窪みあたりに
本宮大社付近が見えているように思います。

賽の河原地蔵。
子供が親を供養するために石を積み上げたところ
鬼が崩して地蔵が助けてまた積み上げるというのが賽の河原。
しかし、ここは特にそういう謂れがなかった場所なのですが、
どういうわけか石が積み上げられいるようです。

石堂茶屋跡。
古い石積みが残る広々とした空間です。
小雲取越、大雲取越は人気のコースということもあって
各所に屋根付きのしっかりした休憩施設があります。
それら休憩施設は茶屋の跡地に設置してる場合が多く、
茶や団子はないですが昔を体感させてくれています。


若干のアップダウンがありますが
大雲取越のことを思うと大したことはありません。
やがて桜峠を過ぎると一気に小口集落へと下りていきます。
しかしながら単純に下りれないのが熊野古道です。
苔むした石畳はスムーズに歩かせてくれません。



石畳が続きます。
昔からのものや復元されたもの色々ありますが
復元されたものは削岩機の跡が残っているので一目瞭然です。
尾切地蔵さんを見て小和瀬の渡し跡へ。

当時は今より水深が深くて橋が架かるまで渡し舟がありました。
小口集落へは小さな峠を越えていきます。
今はトンネルがあるので気づかずに通り過ぎてしまいそうですが
峠には石仏が残り昔ながらの雰囲気がよく残っていました。



小口集落を抜けると大雲取越えの始まりです。
最初の坂を上ると民家がありますが民家の先からが本番です。


こちらの坂道にも石畳が敷かれています。
中には大きな一枚岩の上が道になっている場所も。
横の木を頼って歩かないと滑る滑る。

円座石。
〇が3つ並んでいて本宮、新宮、那智を表しています。

円座とは円になって座ることで
神様3人がここで話をしていたという感じなのでしょうね。

それにしても小雲取越えと違って古い石畳が続きます。
石畳というものは上りはさほど滑らないですが
下りとなると別物のように滑りやすくなるものです。
滑り止め対策としては使い古したパンストを靴に巻くか
ボロボロのタオルを巻くのが効果的と聞きます。


楠の久保旅籠跡。
数十軒もの旅籠があったのですが昭和30年代にはなくなっています。
熊野古道を歩いているとこういった場所をよく見かけますが
車社会になって街道を歩く人がいなくなったということや
生活する上で車が通れない場所は厳しいということなのでしょう。


急坂が続きます。
小口集落からは800m近く一気に上るイメージです。
標高が高くなるにつれ笹が出てきました。
胴切坂という名前は名前の通り大変きついものです。




中辺路の最高峰の越前峠。
うっすらと霧がかかる情景はいいですね。
空気も澄んで心が癒されます。
これで中辺路の大きな難所は終わりました。
まだ峠は石倉峠、八丁掘割、舟見峠と続きます。


相変わらずの苔むした石畳。
雨が降った後だったので道が川のようになっていました。
何度転んでしまったことか。



舟見茶屋跡からは海が見えました。
紀伊田辺で見て以来の海です。
ここまでずっと山の中を歩いてきただけに
目の前に広がる大海原には感動を覚えます。


登立茶屋跡。
茶屋の役割以外にも周辺の集落の商店の役割もあったといいます。
よくよく考えると熊野川沿いの道が出来るまではこの道が幹線道路なわけで
参詣以外にも多くの人が利用していたことでしょう。


やがて那智高原公園を過ぎると青岸渡寺の境内に入ります。
立派な石段が整備されているのですがこれもまた滑る滑る。


那智の滝。
水量が豊富でした。
青岸渡寺と那智大社をお参りして帰路につきました。
いよいよ次回は速玉大社ゴールです。


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