2023年05月22日

長崎街道その17・肥前古賀駅→矢上宿→日見宿 

いよいよ長崎街道歩き最終日。
2回に分けてお届けします。


↑詳しいルートと記録は【山行記録のページへ】もご覧ください。

八郎川は井樋ノ尾を水源として天草灘へ流れます。

当地は水害などが多かったようで、
改修で昔の流路と違う流れになった場所があります。

街道もその影響を受けている部分もあって、
完全に新道に付け替えられた個所が多いのです。

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今は昔の地図や航空写真などを
家にいながら入手できる時代になりました。
おかげでこれらの変化を把握して歩くことができるので
忠実に歩きたい諸氏にとって楽な時代になりました。

ちなみに、現地で頼りになるのは石碑です。
下の写真の「村道改修記念碑」が建てられてあるように
改修があった事実を伝えてくれています。

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村道改修記念碑

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川には昔の川渡しを彷彿させるような
石渡り用の石が置かれていました。

かつてあった「楠川の渡し」とは別であるものの、
場所的に約100mの違いですし往時を知るには十分でしょう。

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西九州新幹線の高架をくぐった先が矢上地区。

矢上は昭和57年の長崎大水害で壊滅的な被害を受けました。
水害地から少し離れた山の際にあるのが矢上宿です。

矢上宿は島原街道と交わる追分となる場所で
島原を経て舟で肥後や薩摩へ向かう人もいたことから
かなりの往来があって賑わっていたといいます。

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矢上八幡神社にある大楠は見事なものです。
幹囲は10m近くもあり神社建立以前からあったそうです。

ちなみに、八郎川の名前の由来は
鎮西八郎為朝という弓の名手からきています。

宿場入り口にあった八郎川に架かる橋から
この大楠を的にしていたというから大したものです。

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八郎川に架かる橋

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番所橋と番所跡。

矢上は佐賀鍋島藩の領地だったわけですが
長崎奉行地に接していたので警備が厳しかったといいます。

番所橋は番所のそばにありました。
宿場の長崎側出入口に位置していたことから
災害で流されても即修復する程の重要な橋だったそうです。

昔の写真を見ると実に立派なものです。

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番所橋の昔の姿。

かつては海が目の前だった矢上地区ですが、
江戸時代の中頃になると埋め立てが進められます。

街道はこの先では平地があるにも関わらず、
アップダウンのある山の麓を進んでいきますが、
これは山裾まで海が広がっていた何よりの証拠です。

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平地があるなら新道を作ればいいのにと思うところですが、
多くの人や荷物が通るには地盤が安定していないことや、
地盤の低さから洪水になると何日も通れなくなるのは
大問題といった理由があったのでしょう。

まぁ、何より金銭的な面も大きかったのかもしれません。

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鳥合場(とろしば)

この辺りは随分と急な坂になってるのですが、
坂道での荷物運搬を取り合ったというのが由来です。

なんとも独特な読み方で由来も面白いですね。

坂を上りきると領界石がありました。
ここを境に佐賀鍋島藩から長崎奉行支配地となります。

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ここからの下りは腹切坂です。
物騒な名前ですが勿論切腹からきています。

村人が武士に対し試合をしかけたところ、
あろうことか武士が負けてしまいます。

村人も必死だったのでしょうが
この結果、武士の面目は丸つぶれで自害してしまいます。

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この腹切坂ですがバイパス工事の影響で、
半分近くが消滅してしまっています。

残り半分はというと藪化が進んでいて、
暑い時期の訪問だったので藪の勢いは旺盛で
「長崎街道」の看板があっても探索が厳しいほどでした。

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国道から腹切坂を見たのが下の写真。
ここは清く撤退して迂回するのが正解でしょうね。

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腹切坂を下った先にあるのが日見宿です。
この先には西の箱根といわれる「日見峠」が待ち構えています。

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長崎まで2里、矢上から1里の場所に位置していることから
宿泊は少なく殆んどは休憩目的の宿場ではありましたが
峠にこれから挑む者、峠から下ってくる者を考えると
重要度はかなりのものだったことと思います。




posted by にゃおすけ at 08:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 長崎街道 | 更新情報をチェックする
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